WebマーケティングにおけるKPI設定と3つの注意点
目次
そもそもKPIとは
KPIとはKey Performance Indicatorの頭文字を略したもので、日本語に訳すと「重要業績評価指標」となります。
目的達成のための指標の一つで、近年、Webマーケティングの世界に於いても注目を集めている考え方ですが、KPIは決して最終目標ではありません。
最終目標を達成するための指標となりますので、KPIを理解するためには、KPIだけではなく、KGIやKSFといった他の指標を理解する必要があります。
KGI、KSFとの関連性
KPIを理解するためには、KGIやKSFの理解も不可欠です。
KGIとはKey Goal Indicatorの頭文字を取ったもので、日本語に訳すと「重要目標達成指標」です。いわば最終目標と考えることができます。
KSFはKey Success Factorの頭文字を取ったもので、日本語に訳すと「重要成功要因」です。 KPI、KGI、KSFの三者の関係としては、KGI到達のためにKSFの設定が必要で、KSFのためにすべきことがKPIになります。
つまり、KPIにせよKSFにせよ、KGIのためのプロセスの部分です。 例えば100万円の売上増加を目標にする場合、目標額である100万円がKGIです。 そして売上を増やすための方法、例えば新しい商品を作る、宣伝をするといった手法の部分がKSFであり、「新しい商品を5つ作る」「宣伝によって10人のリードジェネレーションを獲得する」といった具体的数値がKPIです。
WebマーケティングにおけるKPIとは
WebマーケティングではどのようなKPIが使われているのかについても覚えておきましょう。
WebマーケティングのKPIで良く使われる指標
Webマーケティングに於いて主に使用されるKPIとしては、下記のものが挙げられます。
PV数
Page View、つまりは閲覧回数です。 大まかな指標として用いられるケースの多いものです。
UU(ユニークユーザー)数
UUとは人数だと考えてよいでしょう。 例えば先にお伝えしたPVは、あくまでもサイトページの閲覧回数ですが、人数まではわかりません。 PVが100だとしても、1人が100回アクセスしたのか、あるいは100人が1回ずつアクセスしたのかで意味合いも異なりますが、人数の部分がUUです。
セッション数(訪問数)
ユーザーが何度訪問してくれたのかを意味する数字です。 セッション数とは訪問した回数になりますので、例えば1日2回サイトにアクセスした場合、セッション数は2です。
回遊率・直帰率
直帰率とは、最初にアクセスしたページしか見られなかったセッション数です。 そして回遊率とは1回のサイト訪問にて、ユーザーが回ったページの割合です。 つまり、この数字が低い場合、ユーザーはサイト内をあまり見ていません。
CV数
目的達成した数です。 例えば資料請求ボタンや商品・サービスの申し込みボタンをクリックしてくれた回数等がCV数に該当します。
CVR(コンバージョン率)
目的達成の割合です。 サイト全体の訪問者数に対し、目的達成を意味するCVの割合です。 例えば100人サイトに訪れ、CV数が1の場合はCVRは1%です。 CVRが高ければ高いほど、訪問者に訴求できていると感がられますが、低い場合、訪問者のニーズをくみ取れていないと判断できます。
顧客単価
お客一人が、一度の購買にて支払う額の平均額です。 扱い品目の価格によって異なりますが、ビジネスにおける一般論として、売上とは客数×顧客単価で決まるものなので、高いに越したことはありません。
CPA(成果単価)
1回のCVにかかった費用です。 CV獲得のためのコストパフォーマンスと考えると分かりやすいのではないでしょうか。
リピート数
再びサイトを訪れたり、あるいは商品を購入してくれたお客の数です。 消費者は自らのニーズにマッチしていない物はリピートしません。つまり、リピート数が多ければ多いほど、顧客のニーズにマッチしたものを提供していることになります。また、常連客になる可能性を秘めている数値と考えることもできます。
WebマーケティングのKPIの設定方法
Webマーケティングでは様々なKPIの指標がありますが、KPIを設定するための方法としては、下記があります。
会社の最終的な目標を設定する
まずは会社として最終的な目標を設定する必要があります。 KPIとはプロセスの目標数値であり、決して最終目標ではありません。つまり、最終目的が無ければKPIの設定などできませんので、まずは会社全体としての最終目標を設定しましょう。
Webマーケティング領域の最終目標を設定する
会社としての最終目標を設定した後は、最終目標を達成するためにWebマーケティング領域での最終目標を設定しましょう。 Webマーケティング領域での目的は会社としての最終目標とはイコールではありませんが、Webマーケティング領域での目標を達成することで会社の最終目標達成の一助になります。
目標達成までの具体的な数値を出す
目標達成のための具体的な数値を出しましょう。目標達成のために様々な施策が立案されるかと思いますが、それらに対しての数値目標です。 例えば「CVを獲得して売り上げを増やす」という目標であれば、CVの具体的数値を目標設定しましょう。それこそがKPIです。
施策別設定例
KPIはそれぞれ施策に応じて異なるものです。 そこで、Webマーケティングで多々設定される下記についての設定例をご紹介しましょう。
メールマガジン
メールマガジンで設定されるKPIとしては、開封率、到達数、送信数、クリック数、そしてコンバージョン率が挙げられます。 これらの項目にKPIを設定することで、目標達成(KGI)を目指します。 いずれも比較的数字として把握しやすいものなので、KPIも設定しやすいものが多いです。
SNS運営
SNSの場合、いいね数やフォロワー数、インプレッションの数値をKPIとして設定するケースが多いのですが、少々難しい部分もあります。 なぜなら、KPIは同じ条件でなければ意味がありません。
例えばサイトへの流入数だけをみれば増えているものの、ツイート件数が流入数以上に多ければ、率そのものは下がります。
そのため、同じ条件の下での運用・計測が可能なKPIの設定が重要なので、総数そのものよりも1投稿あたり、あるいは1時間当たりといった計測が重要です。
ウェブ広告
サイト訪問者数やCVR、資料請求数や客単価などウェブ広告では設定すべきKPIが多岐に渡りますので、優先順位をつけることが求められます。
WebマーケティングでKPIを正しく設定するポイント
KPIについて理解していたけたのではないでしょうか。 そこで次にKPIの設定ですが、KPIを設定するために必要なことがありますので、それらも理解しておきましょう。
現状を正しく把握する
まずは現状を正しく、客観的に把握しましょう。 希望的観測等を排除し、正しい現状把握から何が問題なのか、何ができるのかが見えます。
KPIを設定するためには、目的の設定が重要ですが、目的とは現状できていないことです。既に実現していることを目的として達成することはありません。 実現していない実現させたいことが目標になりますので、現状の正しい把握をしなければ、KGIもKPIも設定することはできません。
これらを踏まえると現状をより正しく分析することこそ、KGI、そしてKPIの設定に於いて重要なことだと分かります。
KGIを設定する
KPIとは最終目的を到達するためのプロセスの部分の方法論だと考えることができます。
つまり、KPIだけを設定しても意味がありません。 目的を設定することで、では目的達成のために何をすべきなのかという部分こそKPIになりますので、最終目的であるKGIの設定が大前提です。
そのため、まずはKGIを設定しましょう。KGIを設定することで、では何をするのかを考えますが、その部分こそKSFやKGIになりますので、KPIではなく、KGIから先に決める必要があります。
KSFを設定する
KGIを設定すると、ではKGIのために何が必要なのかを考える必要がありますが、それがKSFになります。
KSFはいわば「何をするか」です。KPI同様、KGIが定まらなければ設定できないものになりますので、まずはKGIを設定し、次にKSFを設定する流れになります。 KSFは手法の選択になりますので、具体的な数値を設定する必要はありません。
具体的数値こそKPIになりますので、何ができるのか、いろいろとアイディアを出してみると良いでしょう。 その中から、自社のリソースや環境を踏まえ、KSFを設定します。
KGIとKSFを設定すればKPIも見えやすくなる
最終目的であるKGI、目的達成のための手法であるKSFを設定することで、最後にKPIの設定です。 KSFの具体的な数値の設定になりますが、こちらは現状、さらには目的から設定することになります。
KPIを設定する際の3つの注意点
KGI、KSFと定めた次がKPIの設定ですが、KPIを設定するためにはいくつか気を付けておくべき点があります。 KGI、KSFを正しく定めても、状況や環境・現状に見合っていないKPIを設定しては効果が期待できません。
実現可能なKPIの設定
実現可能なKPIを設定しましょう。 なぜなら、KPIは最終目標ではありません。KPIを実現することで、KGI実現の可能性が高まるものです。そのため、無理な数値を設定すると、KPIが実現できないだけではなく、KGI、ひいてはプロジェクトそのものが進みません。
KPIとは気合や根性で無理に到達させるためのものではなく、KGIのために必要な数値です。KGI到達のために実現可能な数値設定で問題ありません。 目標は高い方が良いとの考え方もありますが、KPIはKGIのためのものであることを忘れてはなりません。
関わるスタッフ・担当者の理解と共有
KPIは一部の人間が意識するものではありません。プロジェクトに関わる全てのスタッフ・担当者が意識するものになりますので、理解と共有が大切です。 意思決定に携わった人間だけで共有していても意味がありません。
実際に動くスタッフや現場担当者など、プロジェクトに携わる人間すべてがKPIを理解し、共有しておくことで、共通の目的意識が生まれます。
KPIという概念そのものから理解してもらう必要がある環境であったとしても、丁寧にKPIに関して説明を行い、理解してもらうことでKGIが実現できます。
SMARTの法則で考える
SMARTの法則を当てはめることでもKPIの設定が可能です。 SMARTとは
- Specific:具体的
- Measurable:計測可能
- Achievable:実現可能
- Relevant:関連性
- Time-bound:期限
の頭文字からなるもので、マーケティング用語ではなく、目標設定のための方法の一つです。 より具体的で、かつ計測・達成が可能で関連性があり、期限を設ける。SMARTを意識することで、KPIもより具体的なものになります。
関連性については少々分かりにくいかもしれませんが、目標を達成することで何が生まれるのか、何のために目標を達成するのかなど、目標との関連性を意味するものです。
まとめ
WebマーケティングにおいてKPIの設定は大切ですが、KPIとは単体で考えるものではなく、KGIのためのものです。そして、どのように実践するかはKSFです。 KGI、KSFと定めることで、具体的数値としてKPIを設定することになります。 このフローを意識することで、目的達成が可能になりますので、KPIだけではなく、KGIやKSFも含めて覚えておくとよいでしょう。
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